今年9月に発表されたGMOによる「次世代マイニングセンター」事業。
来年の開始に向け着々と準備が進んでいるようです。

ただ、その中身について疑問視する声もいまだ少なくありません。
ここであらためてその内容について振り返りたいと思います。

GMOインターネットが9月7日、最先端の7nm半導体チップを活用し、北欧に「次世代マイニングセンター」を設置。ビットコインのマイニング事業に着手することを明らかにした。
「仮想通貨は、新しい経済のインフラといえます。仮想通貨によって世界共通の経済圏が発展していく中で、それを推し進める事業の1つであるマイニングに、日本の企業として参画する意義は非常に大きいと考えております」

国境を超える仮想通貨に未来を見出した熊谷CEO。
普及に向け、マイニングプール事業は欠かせないと判断しました。

ただし、マイニングには課題があります。
それは消費電力の問題です。

ビットコインマイニングは膨大な量の計算処理が必要となり、採掘者同士の競争で優位に立つには大量の電力が必須。この課題を解決する最良の方法として同社が行ったアプローチは、低電力で動くマイニング用の最先端半導体チップを開発すること、そして再生可能エネルギーを利用できる地域である北欧でマイニングを展開することの2つだった。

参考:マイニングとは

マイニングとは、ブロックチェーンの台帳記帳の更新を行うこと。複雑な数式を解く必要がありますが、最も速く演算を終えたマイナーは報酬として、1回の当たり12.5ビットコインが得られます。1ビットコインが90万円として、1,125万円となります。
ビットコインの場合、ブロックは10分に1回作成されています。1日24時間で144回になる計算ですから、全ての演算を一番速く解ければ、1日で16億円以上の報酬になる計算です
高度な処理能力を持つコンピュータ、大規模な設備と、危機の冷却に必要な安価な電力が成功のカギになりますが、現在は電気代や人件費の安い中国勢が5割以上の世界シェアを握っています。
 ただ、マイニングは競争だ。データの記帳を世界で最も速く終えた1人だけが、コインを得られる。記帳はとても複雑な計算を伴うため、コンピューターを使う激しい競争になっている。

マイニングに魅力を感じる人も少なくありません。
事実、他人のCPUでマイニングを試みようとするブラウザもあるくらいです。

ただし、それは一筋縄ではいきません。
それは消費電力の問題。
日本の一般人である我々がマイニングを試みようとすると機器などへの投資だけで50万程度必要なだけでなく、ランニングコストも必要です。
しかし、それで得られるマイニング量は1日当たり数十円程度。
ビットコインのように、市場規模の大きい仮想通貨になればなるほどマイナーもいるので、報酬はその分下がります。

そして個人でやるとなると、単に電気代の問題だけでなく、火事リスクも伴います。
理想は中国のような圧倒的に電気代の安い国で常時行えることですが、ご存知のように中国ではすでに仮想通貨が禁じられており、マイニング用の電力も一部出力がストップされています。

そのため、より幅広くマイニングできる環境の整備が必要となるのです。

GMOの戦略のこれまで

その1:独自の半導体チップの開発

マイニングを行う高性能のコンピューター「次世代マイニングボード」を実現するべく、半導体設計技術を持つパートナー企業と共同で、最先端の7nm(※2)プロセス技術を活用した半導体チップ(マイニングチップ)の研究開発を進めている。既存の同一性能のマイニングマシンと比較して大幅な省電力(500W以下)を実現できるうえ、計算性能においては1チップ当たり10TH/s(※3)を実現できる設計になっている。
 少なくとも新開発の半導体そのものは中国勢よりも計算能力が高いとみている。

その2:ICOで資金調達

GMOインターネットは、一部外部向けの販売を計画している「次世代マイニングボード」の販売において、来年度内を目処にトークンセール(ICO)の実施について検討することとした。
本トークンセールは、資金決済に関する法律や金融商品取引法をはじめ、現行法制度の下で適用される法令を適切に検討し、トークンの購入者の保護及び各ステークホルダーの利益に十分配慮した設計で実施するよう協議を進めていく。

その3:自社マイニングと並行してマイニングプールの提供及び機器の販売

同社では、3種類のマイニングソリューションを提供する。マイニングセンターによる自社採掘のほか、計算リソースをユーザーに貸し出すクラウドマイニング事業、マイニングセンターで使用しているものと同性能のASICを搭載したボードも一般販売する。
また、単体ではマイニングの成功確率に限界があるため、クラウドマイニング含め、複数の小規模リソースを束ねて一つの巨大な計算リソースに見立てる「GMOマイニングプール(仮)」を設置予定。これにより個人でも安定した収益が見込めるとしている。

その4:電気代が安価で冷却可能な北欧でのマイニングセンター設置

北欧に「マイニングセンター」を設立する計画。2018年上半期での稼働開始を予定しており、500PH/sの演算性能を見込む。また、再生可能エネルギーの余剰電力を使い、日本の3分の1という安価な電気代、気温が低いという北欧の地の利を生かした冷却システムに加え、既存製品の半分以下の電力で同等性能を実現する専用ASICにより低コスト運用を目指す。

マイナーが注意すべきリスクとは

GMOの発表はどれも明るい未来を思わせるものです。
しかし、事業は「いいことだけ」ではないのが世の常。
どの事業にもリスクが伴います。
それは、マイニング事業についても同じことが言えるのです。

そして、今後、仮想通貨に未来を感じて、マイナーとして参加してみたいという人も増えていくでしょう。
「マイニングプールができるなんて、すごくいいことじゃないか」と感じるかもしれませんが、マイナー側にもリスクが伴うのです。

そのリスクについては、次のように述べられています↓↓↓

1つは運営組織に対する信用リスクです。もし、GMOインターネットが経営不振に陥れば、マイニング事業からの撤退もあり得ます。

企業が提供するマイニングプールを使う場合、その企業によって左右されることは必定と言えます。
マイニングが様々な形態に移り変わりつつあるのも、中国という大きな土壌が中国の政治によって左右されたがためです。
マイニング事業はその土台となる組織の状況によって左右されます。
完全に安全ということはないのです。

2つ目は、ビットコインそのものに対するリスクです。ビットコインの価格は、昨年末の8倍まで高騰していますが、これが下がればマイニングのリターンも下落します。マイニングの報酬はビットコインで支払われますから、変動率は高くなります。逆に価格が更に高騰すれば、収益性は更に高まることになります。

GMOの場合、マイニング対象はGMOコインも入ると思われます。
そのため、ビットコインと同じような状況が必ずしも言えるかどうかは分かりません。GMOコインへの市場の信用度もあります。

しかし、ボラティリティによる報酬額への影響は避けられません。
「今は高いからいいだろう」「これからも安泰なハズ」は誰にも言えないのです。

そして、3つ目はマイニングの競争環境の変化のリスクです。マイニングには、中国系を始め多数の団体が、大量の資金を投入しています。コストをかけてマシンの性能をあげても思った通りの採掘結果が出なければ、投資効率は悪化し、思い通りのリターンを生み出せない可能性があります。

これは1つ目の事情と関連するかと思います。
事業は基本的に営利を求めて計画され実行されるものです。
投資効率が悪ければ、当然閉鎖を余儀なくされます。

マイニングボードを買うなど、多額の投資をしても、GMOそのものの採算が悪ければ、最終的にはマイナー自身も損を被ることになります。

まとめ___マイニング事業は広がる、そしてリスクは変わらず存在する

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 10835 view

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。