日本の会計基準、仮想通貨についてのルール検討中

いよいよ仮想通貨関連の会計基準整備に

いよいよ仮想通貨関連の会計基準整備に

人気沸騰と共に、資金決済法や税法などで整備が徐々に進んできた仮想通貨。
しかし、これまでの環境整備は、個人取引メインのもの。
法人取引をも考慮した環境整備まではなかなか届いていませんでした。
先日の「雑所得扱い」という国税庁発表も所得税、つまり個人に関するものです。

しかし、単に投資手段としてのみならず、支払手段としてもどんどん市民の生活に浸透していく仮想通貨。
日本の税務当局ならず、会計そのもののルール整備を主業務とする団体も、ルール整備が必要だとして、着々と討議を進めています。

ASBJ、仮想通貨に関する会計ルール原案提示

日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は5日開いた会合で、急速に広がる仮想通貨に関する会計ルールの原案を示した。外貨と同じように仮想通貨を時価で評価し、期末に簿価との差額を損益として計上する。企業がもつ仮想通貨の価格が急落した場合、期末に損失計上する。

この原案提示は突然行われたものではありません。
すでに今年6月、会計ルール整備に入る旨のニュースが流れていました。
6月というと、仮想通貨の価格がビットコインを中心に上昇を続けていた時期にあたります。ビットコインブームに目をつけ、投資に新たに着手する人も激増していました。

■参考サイト■↓↓↓

仮想通貨会計ルールの大まかな内容とは

貸借対照表(B/S上)

原案は仮想通貨を時価評価すると明記した。取引所が顧客から預かっている仮想通貨については貸借対照表の資産に計上するとともに、同額の負債を計上することになるという。
最も頻繁に利用している取引所の価格から時価を算出する。
流動性が乏しく売買や換金が難しい場合、取得した価格を計上する。

損益計算書(P/L上)

企業は毎期に時価で評価し直し、簿価との差額を損益として処理する。
損益計算書には「仮想通貨運用損益」などとして表示する。
扱いは基本的に有価証券など価格変動する金融商品と同じ

扱いは基本的に有価証券など価格変動する金融商品と同じ

ざっと見た限りだと、このような図式になるかと思います。


・ビットコインやイーサリアムのように、市場価格があり、評価が容易なもの
:期末に時価評価、利益と損益をP/Lに計上

・開発されたばかりで市場価格のないコイン(いわゆる草コインなど)
:取得価額で評価


一見すると株式や投資信託、外貨といった金融商品と扱いに違いはありません。
ただし、株式と違い、「保有が目的」という考え方は仮想通貨にはなじみにくいでしょう。
なぜかというと、投資であれ支払手段であれ「使う」ことに仮想通貨の意義があるのであって、保有することが目的になったらそもそも貨幣としての価値は損なわれるからです。
そのため、「取得価額評価」というのは、開発間もない仮想通貨の目的を考慮したものではなく「やむを得ない取扱い」に過ぎないものと考えられます。


また、仮想通貨の市場の変化は激しいもの。
ビットコインキャッシュのように、登場してすぐ取引所で取引されるようになり、時価がつくものもあります。


開発の時期が云々よりも、市場流通性を基準に検討するのがよさそうです。

これからの会計上の課題

企業が仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)した場合の会計処理などが残る論点とみられる。

ICOとは、株式公開による資金調達と似ています。
企業などが独自コインを開発・発行して、世界中の一般投資家から仮想通貨というカタチで資金調達を行い、その後、一定要件を満たした後、仮想通貨取引所で独自コインを売却し資金調達を行うというものです。


今行われている会計議論は、仮想通貨使用者と仮想通貨交換業者であって、仮想通貨発行者とその利害関係者についてはまだフォローされていないのです。

ICOで資金調達する場合、一番問題となりやすいのが、独自コインを発行したときの処理やプロジェクトがうまくいかなかった場合の取扱いになるかと思われます。
人によっては長期預り金という「負債」で扱うのが妥当、という考え方もあるようですが、資本のカタチが株式から仮想通貨に代わっただけ、と見ることもできなくはありません。そうなると資本になるわけですが、そうすると株式が企業の基本構成であるという考え方を根本から見直す必要が出てきます。

今後も、会計ルール策定の動向には注目する必要がありそうです。

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すずきまゆこ

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は最近話題のフィンテックの一環として興味を持ちました。

プラス、海外資産を含めた課税網が年々強化されていく昨今、

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのではないかと感じています。