仮想通貨取引所の”金融機関化”が進む

今年春、大手インターネット証券会社のマネックスが、みなし業者である仮想通貨取引所コインチェックを完全子会社化しました。

これに引き続いてか、先日、同じく日本の大手ネット金融機関のSBIホールディングスがみなし業者であるLastRoots(ラストルーツ)に追加出資を行いました。

SBIホールディングスは20日、仮想通貨交換業者のみなし業者であるLastRoots(東京都中央区)に対して、追加出資を行ったと発表
LastRootsの経営管理態勢の強化のために、SBIグループから役員を派遣することも明らかにした

昨年12月にもSBIホールディングスから出資を受けたLastRoots。

LastRootsもみなし交換業者で、今年、金融庁の調査の後、内部の経営管理体制の不備やマネーロンダリング対策の不十分さなどに関し業務改善命令を受けています。

金融庁の行政処分に関しては、1社、命令に従わず、市場から撤退することを余儀なくされた取引所もありました。

このように業者の淘汰が進む中、LastRootsも生き残りをかけ、SBIの出資を受けたものとみられます。

コインチェックにもLastRootにも共通するもの

コインチェックにもLastRootにも共通するもの

両者には共通点があります。


・仮想通貨交換業のみなし業者であること
・管理不備などにより行政処分の対象となったこと
・大手金融機関から買収OR出資という形で支援を受けていること


さらにこれらの裏側に、もうひとつキーワードが隠れています。

それは「金融庁」です。

金融庁「金融機関からの出資を受けてはどうですか」

金融庁は2018年2月以降、登録業者16社のうち7社と、当時は16社あったみなし交換業者全社に立ち入り検査を行いました。

この結果、多くの業者に共通する課題として指摘されたのが

「技術には詳しくても金融業に対する知識を欠いた経営者が多い」
「役職員にも金融業としてのリスク管理に知識を有する人材が不足」

という点です。

ゴールドマン・サックス出身の社長が率いるビットフライヤーですら、「身内で経営陣を固めている」として金融庁から行政処分を受けました。

ただその指摘がある一方、ベンチャー企業である仮想通貨取引所が単独で金融庁が課してくる体制を備えるのには限界があります。


そこで、金融庁のお眼鏡にも叶い、かつ各業界のニーズを満たすのが「大手金融機関による仮想通貨取引所のバックアップ」だったわけです。


ある仮想通貨取引所関係者は、次のような一言を金融庁から言われたとしています。

また、NEM流出事件以後、金融庁からの調査や監督が強化されるようになって以降、各取引所に買収や出資などをもちかける大手証券会社の動きが活発になりました。

現在、100社以上が審査待ちとされる仮想通貨交換業登録▼

このような状況の中、大手金融機関にとって、仮想通貨取引所の買収は次の2つの点で”おいしい”と言えるかもしれません。

大手金融機関としては、いつまで時間がかかるか見通しの立たない金融庁への登録手続きに注力するよりも、登録済みの業者を買収する方が、最短距離で仮想通貨に参入できる。
このところの仮想通貨市場の低迷で、登録業者やみなし業者の企業価値が割安になっている

また、行政処分を受けた仮想通貨交換業者は出された課題に応え、会社としての体制を整え、業務改善計画を提出しなくてはなりません。

この業務改善計画を提出するプロセスにあたり、実効性について金融庁のモニタリングを受けることになります。

このモニタリングにあたって、金融機関からの出資や金融畑出身の役員の受け入れなどを指導されるケースが多いようです。

つまり、▼

金融庁が、「金融業の知識を有する人材」の確保を交換業者に求めている

まとめ:”金融”のハードルを越えない限り交換業登録は困難

この他、今後の仮想通貨交換業登録についてはすでに指針も出され、厳格化する見通しであることが明らかになっています▼

2016年以前ならば、ベンチャーが参入しやすかった仮想通貨交換業。
それは金融庁自身がAML対策をしている限り、「自主規制任せ」であったことが背景にあります。

しかし、仮想通貨の取引規模が拡大し、社会的にもその存在が無視できなくなった以上、金融機関と同レベルのコンプライアンスを求めざるを得なくなってきています。

このスタンスは、日本だけでなく、G20に加盟するすべての国においてどうようであるとみてよいかと思われます。

当サイトでは、売買に関してお勧めしているものではございません。資料としてご提供できる記事をお届けしております。ご自身でアクションを起こされる場合は、変更されているかもしれない情報を再度確認調査し、ご自身の判断での決断をお願いいたします。いかなる状況になろうとも、当サイトでは何ら責任をお取りすることはございませんことをご承知おきくださいますようお願いいたします。

【注意とお願い】無断転用・複写などされませんようお願いいたします。ご利用の場合は、当サイト名とURLのリンクを明記の上お願いいたします。

関連するまとめ

逆転$を測る時代に|仮想通貨ビットコインが自由と景気を取り戻す|時計の針を戻すpar…

「仮想通貨は怪しい」そう言われていた時、すでに目をつけた強者達。「時計の針を戻すpart3」仮想通貨ビットコ…

仮想通貨まとめ編集部の志水 / 2802 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。