今、経済がどんどんデジタル化し、ヒト・モノ・カネの流通が国境を越えてよりスピーディにより自由に行き来するようになり、20世紀までとは異なる経済発展の様相を見せています。
世界各国、とくに経済が成熟してしまい、急激な成長が見込めない先進諸国にとっては喜ばしい事です。
ただ、同時にデジタルは実体がないため、国家、とりわけ税務当局にはその動向を把握しにくいもの。そのため、徴税が年々困難になっているという悩ましい事態が生じています。

今回は、そんな税務当局の「デジタルジレンマ」についてお伝えします。

税務当局を悩ませるデジタルジレンマとは

「デジタル・ジレンマ」とは、元々、アナログ媒体にかかるコスト削減のためにデジタル媒体を活用した結果、かえって費用が高くつくという矛盾したIT現象をさしたものです。

これが、先日、大手税理士法人コラムサイトにて昨今の経済と徴税の関係の原因を表す際のキーワードとして使われました。

国家の徴税権が富に及ばなくなる____こういうテーマは特段珍しいものではありません。
ただ、そのターゲットとなるのが富裕層ばかりでした。


実は、国家の徴税権が及ばなくなっているのは、資金力のある富裕層だけではありません。
タックスヘイブンに資金を逃がす資金力などない一般市民に対しても、日に日に徴税権が及ばなくなっています。

それを引き起こしたのが「経済のデジタル化」です。
これにより、今、各国は、デジタルジレンマに陥っています。

デジタル経済の台頭が世界の租税当局に難題を突き付けている。公共サービスの充実や膨らみ続ける国家予算を賄うため、潤沢で安定的な税収源を求めるのはどこの国でも同じこと。しかし、デジタルエコノミーの発展は既存の徴税モデルに破壊的な変化をもたらし、企業に節税の機会を飛躍的に増やしているという側面もある。
例えば、ネット取引。カッツ氏によると、先進国では小売取引のおよそ12%がネットで行われていると試算する。デジタルプラットホームの流動性や無形性といった特徴を逆手に取り、税逃れしているネット企業が少なからずあり、徴税当局や国際機関はこれまで以上に神経を尖らせている。

21世紀になり、インターネットが一気に普及しました。
これにより、それまでアナログだった取引はデジタルなものにとって代わることが多くなりました。

「アナログからデジタルになる」ということは、その痕跡がリアルに残りにくくなることを意味します。

商品売買にしても、普通にお店で買うのならば、領収書なり、レジのデータなりとしてその取引の痕跡がのこります。税務調査が入れば、カンタンにそのデータをチェックできます。そして「どこで経済活動が行われているか」が明らかです。

しかしデジタル取引の場合、その痕跡のチェックはカンタンではありません。
なおかつ、どこが税の根拠となるのかの判定そのものが難しく、
税をよく勉強している企業はカンタンにその隙間をぬって税逃れすることができます。


インターネットの普及により、経済活動がより自由になり、より多くのヒト・モノ・カネが行きかうようになった裏側には、「税務当局にとっての都合の悪い事態」があるのです。

デジタルジレンマの原因1:オンラインでのモノの取引の一般化

徴税が困難になった理由のひとつ、「オンライン売買により足取りがつかめなくなった」ことにあります。
もっというと、各国の租税が関係し、それぞれの概念が異なるため、そもそも課税対象なのかどうなのか、そして現地の租税はそれをチェックしているかなどといった問題も絡んできます。

例えば、ブラジルの消費者が海外のネットサイトAから商品を購入し、海外から商品が送られたとしよう。
このような国をまたいだオンライン取引からは、いくつもの論点が浮かび上がる――

1. 消費税を請求し、徴収するのはAなのか、あるいはそもそも消費税は徴収されないのか、

2. ブラジルの租税当局はどうやって課税される消費税をチェックするのか、

3. 仮にAはブラジルにビジネスの物理的拠点がないにしてもブラジルの税金を払う義務があるのか、


といった具合だ。

最近の例:Amazonkindleは最近まで消費税の課税逃れスポットだった

デジタル経済による税金逃れの最も有名な例では、Amazon kindleに代表されるような電子書籍にあります。
これは、サービスの提供地がアメリカであったため、日本の消費税を課税することができませんでした。これ以外の電子書籍もほぼ同じ手法を取っています。

この課税逃れに目をつけた日本の税務当局は税制を改正、2015年10月からこいった電子書籍についても消費税を課税するようになりました。

デジタルジレンマの原因2:「シェアリングエコノミー」の普及

モノの取引だけではない。タクシーの予約や翻訳業務など、サービス分野においてもこれまでに確立された徴税方法が過去のものになりつつある。
米国の民泊大手のAirbnbや自家用車配車サービスのウーバーテクノロジーズ、日本ではカーシェアリングで注目が集まるシェアエコノミーは、デジタルビジネスの課税の難しさを浮き彫りにしている。
世界の多くの自治体は、これまでホテルの利用者に課税してきたが、パリ市のように家の一部を短期滞在者に貸し出すような民泊おいて施設提供者に課税する自治体も出てきた。しかし、このような場合、税額の特定や税の徴収に困難が伴う

個人が関係するシェアリングサービスの場合、その収益や費用をきちんと計算していないことがほとんどです。税務当局に指摘されて「税金納めなきゃいけないの?」と自覚することが多いもの。
あまりイメージできないかもしれませんね。
過去、FXやアマゾンのせどりなどで莫大な収入を上げた人が、ある日突然、税務署から指摘を受け、「申告せよ」と迫られた事例があることを思い浮かべていただくとよいかもしれません。

シェアリングエコノミーって何?

「シェアリングエコノミー」とは何ぞや?とお感じの方もいらっしゃるかもしれません。

シェアリングエコノミーとは、モノ・カネ・サービスの交換・共有により成り立つ経済のことです。
欧米を中心に一気に世界中に広まりました。
この普及に貢献したのがFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアサービスの存在だと言われています。

日本に限らず、今の現役世代は「所有」ではなく「共有」を志向する傾向にあります。

高度成長期では「所有することがいいこと」のように思えました。
しかし、実際には、所有にもお金や労力、時間などのコストがかかります。
所有することにエネルギーを使い、人生を楽しむ時間が削られ、会社に貢献せざるを得ない様子をサラリーマンを通じて現役世代は学んできました。

その結果、服でも家でもクルマでも、すべて共有しようよ、というスタイルが今、経済の中心となっているのです。

たとえばこんなサービスがシェアリングエコノミーを形成しています↓↓

シェアリングエコノミーの例:Uber

シェアリングエコノミーの例:Airbnb

シェアリングエコノミーの特徴とは

これ以外にも、カーシェアリング、ブランド品の共有サービスなど、多くのシェアリングサービスが提供されています。

では、こういったシェアリングサービスの特徴は何でしょうか。
次の点が挙げられます。

こうしたシェアリングエコノミー発足・普及の背景にはインターネットやスマートフォン・タブレット端末の普及などテクノロジーの発展があります。インターネットが整備され、端末によってそれを手軽に利用できるようになったことでシェアリングエコノミーは急速な成長を遂げていきました。

スマートフォンやタブレットなどにより、「今すぐ」「ココから」サービスを利用できる点が共有サービスを一気に広めたと言えるでしょう。
「今ここ」で検討し、購入までできなかったら、帰宅に予約することになりますし、PC立ち上げなどの作業が面倒です。
時間がかかればかかるほど、人はだんだん熱狂が覚め、冷静になり、理性的になる生き物です。
欲しい気持ちが醒めてしまえば、販売のチャンスは消えてしまいます。


つまり、感情が動いた瞬間を逃さず売上につなげることに、スマホやタブレット端末は大活躍しているのです。

「見知らぬ人同士がモノを貸し借りする」というリスクはもちろんあります。
そうした問題に対応したのが「評価制度」です。

個人と個人の信頼関係構築がこのサービスにおいて非常に重要な要素ですが、多くのシェアリングエコノミーサービスでは信頼性を高めるためにユーザー同士のレビュー評価制度を導入しています。

シェアリングサービスは、他のサービスと同様、基本は「見知らぬ人同士の有料貸し借り」です。法人相手ではなく、普通のシロウトが相手であるだけに、そのサービスの利用については誰もが不安を感じるところです。何かがあってもその補償がされるとは限りません。

そこを補うのが「評価制度」。つまり、参加するみんなで監視し合う仕組みです。
中には、Facebookとの連携を前提としているところもあります。

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。