日本じゃ考えられない|スペインの「マイニング課税」

スペイン政府は、ビットコインのマイナーに利益の最大47%の税を課する見込みであると発表しました。
関係者は、今後ビットコインの採掘が税金の対象になる可能性を指摘しています。
8月末、スペイン財務省と行政機関は「ビットコイン取引及び支払い方法の一つとしての使用は、無税である」と発言しました。
一方で、マイナーたちは「経済を支えるため、ビットコインは常に税の対象でなければならない」と主張しています。
近年、スペインは仮想通貨やITを活用した金融に積極的です。
もしビットコインに税金がかかることになると、マイナーにとっての義務は重大となります。
経済学者兼顧問税理士のホゼ・アントニオ・ブラボー・マテウ氏は、「スペイン財務省にとってこの新しい責任は簡単に実現化できるものではない」と、課税の実現には様々な問題があると指摘しています。
BTC.comのアレハンドロ・デ・ラ・トッレ氏は、政府の課税計画に対し疑問を抱いており、政府がビットコインや仮想通貨の専門家を雇用し、不正なマイナーや未知のマイナーたちを探し出すのではないかと予想をしています。

仮想通貨に厳しい目を向けるスペイン政府

スペインの国税庁は支払いをデジタル通貨で受けとる方法に関する情報収集のため、少なくともひとつのビットコイン(Bitcoin)受け入れ企業を調査した。
スペインの国税庁であるLa Agencia Tributaria Espanolaは、マドリードに拠点を置くビットコインを受け入れている法律事務所のAbanlexにインフォメーションリクエストを送り、ビットコイン関係のアカウントの提供を求めた。Abanlexは10月8日にリクエストを受け、それをオンライン上で公開した。
リクエストの内容を要約すると、「貴社ではビットコインの支払いを受け入れているか。そうであれば、全てのビットコインに関するアクティビティについて、ビットコイン支払いの量や、会計上の必要書類などについて報告せよ。」といった旨が記されていたようだ。
さらに、ビットコインについて、不正な目的で使用されていることがないかどうかもっと調査をしたいという国税庁の要望に対して、同社は回答を拒否した。

詳細については公表しなかったものの、スペインの国税庁の担当者はビットコインが不正な目的で使われていないかどうかを判断するために、さらに調査をしたいと語った。

ちなみに質問書の内容は、ビットコインを相当熱心に研究しているのでなければ出てこないような内容だった模様。
それだけ、税務当局にとっては、ビットコインは脱税の手段としてにらまれているようです。

なぜスペインの税金は仮想通貨に厳しいの?

上記を見ると、スペイン政府や税務当局は、諸外国に比べてかなり仮想通貨に厳しい姿勢を示しています。
これは、スペイン特有の経済事情が背景にあります。

2012年スペイン危機

2007年にアメリカ発のサブプライム住宅ローン危機が表面化し、世界金融危機 (2007年-)に波及すると、バブル状態になっていたスペインは一気にリセッション状態となった。この年を契機に不動産価格の暴落、GDPの実質成長率は2009年に-3.7%と大きく落ち込んだ。財政支出も2009年に-11.1%と大幅な赤字に陥り、ソブリン・リスクが叫ばれるようになった。この頃には、同様の問題を抱えた国と一緒にPIIGSとしてくくられるようになった。
欧州連合(EU)の規定では、加盟国は財政赤字をGDP比3%以内に抑える必要がある。スペインとポルトガルの両国は2009年以降、過剰財政赤字是正手続きの適用国となっており、2014、15年は2年連続で欧州委と合意した財政再建目標を達成できなかった。

このとき、EUによる経済制裁がスペインに加えられる予定でしたが、最終的には見送られました。
ただし、スペインの財政が厳しい事実は変わりません。

スペイン財政は火の車

スペイン財政は火の車

先月13日、国際通貨基金(IMF)の経済専門家チームがスペイン入りをしました。

このスペイン入りの目的は、スペインの政府や銀行、各産業界や労働組合の代表と協議し、現在のスペインの経済状況について話し合うためのものです。


「PIGS」というネーミングに知られるように、2008年のリーマンショックを機に、スペインが財政危機にあることが露呈しました。
IMFとEUの金融支援を受けなければ、経済・金融ともに破綻しうる状況が現在も続いています。


「経済破綻はさせない、代わりに私たちIMFとEUの指示に従いなさい」


暫定内閣による政治不安が続く中、スペインは、同時にIMFと欧州理事会から赤字削減目標を達成するよう厳しく要求されているのです。

ATMに駐車場…何かにつけて課税をしかけるスペイン当局

マドリード市カルロス・サンチェス・マト経済・財政局長は13日、来年1月から市内のATM2,084箇所に対してATM税を課す意向であることを発表した。 全国で19か所目となる。

これは来年、マドリード市の複数の項目にわたる税条例変更に伴う改正案の一つで、ATM税導入により745,405ユーロの増税を見込んでいる。
ATM税導入に関しては、バルセロナ、グラン・カナリア、ハエン、サラゴサ等全国19か所で今年から導入されている。

バルセロナの例を見ると、(カテゴリーがA~Zまであるが)歩道が80センチメートル以内にATMを設置した場合、年間855ユーロが徴収される。 

この他、観光地の駐車場利用に対する課税や薬の資金の出し渋りなども行われています。
財政赤字の国や地域ではよくある光景です。スペイン財政がいかに苦しいかが垣間見えます。

財政危機に対する民間の動き

では、そんな財政危機に対し、国民は黙っているでしょうか。
スペイン危機で冷や汗をかいた国民は、キプロスショックでのビットコインの資産保全効果を見ています。
そのことから、スペインでも着実にビットコインをはじめとした仮想通貨は、「資産保全の手段」として、市民権を得ているのです。

スペイン最大の商業銀行であり世界的な巨大銀行でもあるサンタンデール銀行は、ビットコインやその他暗号通貨の潜在的な可能性についての調査を、企業向けの資産調査・分析会社である「Yegii The Insight Network(以下、イェギー)」の金融部門に依頼したことがわかりました。
スペインの銀行Bankinterが、行内のイノベーション投資財団より、分散型ビットコイン取引プラットフォームを開発するスタートアップ企業Coinffeineへと投資を行ったことが明らかとなった。ビットコインエコシステムにおいてこれまで銀行から出資を受けた企業はないため、Coinffeineが初めての企業となる。

2014年時点ですでにビットコインが着目されていました。
ブロックチェーンも同様に関心がもたれ、研究がおこなわれていましたが、これを促したのは、財政赤字による国民の危機感だといえます。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 6086 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。