アメリカではブロックチェーンの教育への活用を検討

アメリカではブロックチェーンの教育への活用を検討

今年3月、テキサス州で全米最大の教育イベント「SXSWedu」が行われました。
ここで登壇した未来学者でありゲームデザイナーのジェーン・マクゴニガル氏(健康心理学者のケリー・マクゴニガル氏の双子の姉妹)は、

「近い将来、ブロックチェーンを用いて個人の学習履歴をすべて追跡できるのではないか」

と述べています。

もちろん、今すぐ実現するものではないにせよ、個人の学習履歴、それも学校で学んできたことだけでなく、社会人になってから取得した資格や受講したセミナー、職歴などが履歴書や職務経歴書ではなく、ブロックチェーンを使った手段で追跡できるようになると、企業の採用活動や人材の抜擢などが大きく変わってくるはずだ。さらには個々人の働き方、学びに対する考え方をも変える可能性を秘めている。

アメリカにしても日本にしても、学歴重視の傾向にあります。言い換えれば、それは、「一発勝負で決まる世界」であり、それまでのプロセスは一切無視されてしまうということです。

たとえば、ずっとマジメにコツコツ勉強していても、要領や運が悪くて高学歴になれなかった人は、その努力は今後一切無視されてしまうことになります。代わりに、ずっとテキトーに学校生活を送ってきていても、まぐれで有名大学に合格すれば、その後は大学名でメリットを得られることになります。

確かに、起業や資格取得など、学歴の関係ない場面でがんばれば、報われるかもしれません。けれど、多くの人は、企業や社会といった大きな組織に評価され、抜擢されてこそその才能が生きるものです。そしてそこでは学歴も評価対象の一部とされることが少なくありません。


ブロックチェーンにより、その人の学習履歴などがすべて追跡できるようになれば、マジメに頑張ってきた人が正しく評価される可能性が高まると言えます。

ここまでだと、その学習記録や個人の履歴の一致のために、安全性と機密性の高いブロックチェーンが活用されるだけ、と思いがちです。
しかし、Janeのイメージはそこだけにとどまりません。

ブロックチェーンが基盤となる仮想通貨構想も、教育に取り入れようというものでした。

「学ぶことは、稼ぐこと(Learning is earning)」が、学びの広がりを実現する

Jane McGonigal | SXSWedu Keynote | How to Think (and Learn) Like a Futurist - YouTube

出典:YouTube

そして更にその先の10年後の教育を予測したのが最後に披露された『The Ledger』です。The Ledger はブロックチェーンを未来からのシグナルと捉えた Micro credential のプラットフォームで、獲得したスキルを EduBlock と呼ばれるバッジで表現することで学習に対する金銭的な対価をより明確に、簡易に授受できるようにするとしています。この構想が目指すのは誰もが生徒であり先生にもなれ、かつ学校や塾といった特定の場所に縛られずにどこでも学びとその証を記録することができる世界です。

EduBlockは教育プラットフォーム内で使える仮想通貨のようなもの、と言ってよいでしょう。

学べば学ぶほど、稼ぐことができ、さらに、それが自身の学習履歴ともなる。
そして、場所に囚われず、お互いに学びをシェアすることができる。

より自由に、教育の機会が得られることができれば、この先の技術や文明、制度の進化はますますスピーディなものとなるでしょう。

The ledgerとは~Learning is earningの試み

Learning is Earning 2026 - YouTube

出典:YouTube

「従来、我々は、学ぶこと、稼ぐこと、そして生きることはそれぞれ別の経験だと考えていました。
若いときは学び、大人になってからは労働に時間を費やします。そして、残されたわずかな時間に私たちのパーソナルな時間を絞り込むしかありません。

でも、想像してみてください。
これがすべて変化した世界を。

そのイメージした世界は、10年以内にやってきます。

その世界では、私たちの学びが、私たちの人生のあらゆる側面を結びつける貨幣になるのです」

この考えによれば、学べば学んだ分だけ、それが「自己投資」というカタチ以上にダイレクトに収入につながります。誰もが先生であり、生徒という考えです。
そして同時に、将来性が見込める生徒に対しては最初は初期投資ということで低めに請求額を抑え、後日返済してもらう、というスタイルをも想定しています。

日本では、SONYが教育分野においてブロックチェーンを活用

SONYの教育子会社がブロックチェーンを成績データの共有に応用

SONYの教育子会社がブロックチェーンを成績データの共有に応用

では、日本ではどうなのでしょうか。
ブロックチェーンがフィンテックとともに話題にされるようになったのは2015年からです。

「ウォークマン」などの開発で知られるSONYは、このブロックチェーンに対し、素早い行動を見せています。

SONYの教育子会社「ソニー・グローバルエデュケーション」は、これまで、「世界算数(Global Math Challenge)」の開催により、世界規模で算数・思考力をコンテストする取り組みなどを行ってきました。
そのソニーグローバルエデュケーションにおいて、ブロックチェーンの教育分野への応用の構想が練られています。

Sonyは、ビットチェーンを利用しようとしている企業の一つだ。ビットチェーンは暗号通貨bitcoinの基盤的技術として有名になったが、Sonyはこれを使って、学生等の学業の成績やテストの点を集中的に共有できるプラットホームを築こうとしている
今回開発した技術はブロックチェーンを教育領域に展開するもので、個人の学習到達度や学習活動記録などのデータを、特定の二者間で暗号化された形で安全に利用することを可能としました。
具体的には、例えば個人が学習到達度を測定するため、ある試験機関で特定の試験を受験した場合、その結果を個人が許可を与えた別の評価機関で利用できるようになります。
これにより、従来の教育環境において実現できていなかった、ネットワーク上で個人の試験機関での結果を、個人のリクエストに応じて第三者の評価機関に安全に提供することや、一つの試験機関での結果を複数の評価機関が評価する仕組みが可能となります。
総合的にその人の能力が評価される仕組みに

総合的にその人の能力が評価される仕組みに

従来、「一つのテストの結果=その人の能力」として取り扱われてきました。

たとえば、TOEICで成績が800点台であっても、TOEFLのスコアが悪ければ、TOEFLの点数を必要とする英語圏の大学では評価されないことになります。

また、試験というのは一発勝負が基本で、たまたまその日高熱で調子が悪く、普段通りに高得点が取れなかったら、たった1日の試験でその人の評価はがた落ちしてしまいます。

ブロックチェーンで、その人のその日の試験だけでなく、日頃の学習活動や他の試験の結果も含めて総合的に評価されることになれば、「たまたま」「偶然」がその人の人生を左右する要素が激減することにつながるのです。

関連するまとめ

仮想通貨ネットの未来を探求|仮想通貨ビットコインから見る求められる6つの理由

仮想通貨ビットコインの過去にはミリオネアにしてしまった実績が残っています。そして、世界でこれほどまでに人から…

仮想通貨まとめ編集部の志水 / 5250 view

Travelers Box余った外貨を電子マネ‐他交換|仮想通貨Bitcoinにも変…

海外で使いきれずに持ち帰った外国のお金はどうしていますか?余った外貨を電子マネーやポイントに交換するサービス…

仮想通貨まとめ編集部の志水 / 4029 view

IndieSquare(インディスクエア)ビットコインのモバイルウォレット! トーク…

IndieSquare(インディスクエア)ビットコインのモバイルウォレット! トークンも管理できちゃうスマー…

仮想通貨まとめ編集部の志水 / 14046 view

すずきまゆこ

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は最近話題のフィンテックの一環として興味を持ちました。

プラス、海外資産を含めた課税網が年々強化されていく昨今、

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのではないかと感じています。