エストニアってどんな国?

北欧の小さな国エストニア

北欧の小さな国エストニア

エストニアは北ヨーロッパの共和制国家です。
公用語はエストニア語ですが、複数言語を離せる国民が多数。
報道の自由度ランキングの上位国。
IT教育が盛んで、外国企業がIT進出するケースも多い。
あのSkypeを生んだ国でもあります。

小国ながらもGDPは比較的高めなIT国家

小国ながらもGDPは比較的高めなIT国家

IMFの統計によれば、2013年のエストニアのGDPは187億ドル。
一人当たりのGDPは18,852ドルで、EU平均の3万4千ドルの半分強ほどではあるが、バルト三国の中では最も高いとされています。
IT技術者が多く、経済もアメリカ型の市場放任主義。
ヨーロッパのITのオフショア開発の拠点ともなっています。
IT産業が堅調であることから「eストニア」と呼ばれることも。

エストニアのブロックチェーンの活用っぷりが目覚ましい

もともとIT産業が好調なエストニアですが、ここ最近はブロックチェーンの活用を国の強みにつなげるべく活用している話題をよく目にします↓↓

エストニアは元々電子立国に積極的

エストニアがeストニアになるべく導入したシステム

エストニアがeストニアになるべく導入したシステム

「国の意義は『領土』でなく『人』」という考えの下、国民や国のデータだけでなく
国の仕組みもすべてサイバースペース上に置くようになりました。

IDカードは2002年から、その所持を15歳以上の国民に義務付け、身分証明書と運転免許証、健康保険証などを統合しています。
2007年には、モバイル機器をIDに使えるモバイルIDも開始。

こうした取り組みの結果、エストニアはEU圏でのデジタルパフォーマンスやデジタル化の競争力を統合したインデックス「EU Digital Economy & Society Index」において第1位にランキングされています。

エストニアはe-state構築に向けたビジョン_7つの「E」

エストニアはe-state構築に向けたビジョン_7つの「E」

電子立国、すなわち「e-state」の構築も、ビジョンがなければ実現できません。
なぜなら、ビジョンは方向性を示します。
むやみやたらな行政の電子化は、方向性がなければ単なる個人情報の漏えいや国民の混乱、重大なハッキングをもたらす結果にしかならないからです。

エストニアのビジョンである「7つのE」は次の通りです。

Empowering(エンパワー、権限の付与):国民に多くの権限を与え、デジタル化によってほとんどの申請やサービスをオンラインで提供する。。IDカードを使えば完全ペーパーレスの電子署名によって、納税や、警察関連、教育、医療、選挙、会社設立、パーキングなどのサービスすべてを利用できる。例えば会社設立登記では、IDカードまたはモバイルIDを使い「e-Business Resister」というサイトにアクセスすれば、申請内容の登録、諸費用の支払いなど4つステップを踏むだけで、最短18分で完了というケースもある。そのため新規企業の98%がオンラインで登記している。

Easy(簡易化):すべてのサービスには1つのWebサイトからアクセスでき、デジタル化したソリューションを簡単に使える。利用者自身にWebサイトを使うことによるメリットが出るような仕組みになっている。

Efficient(効率性):デジタル化によって時間やお金などの節約を図る。「e-Tax」と呼ぶ税金申告システムでは、2000年にオンライン申請を開始し、現在では国民の95%が使っている。e-Taxでは、5クリックで申請が終わるという効率化とともに、還付金の振込が書類では数カ月かかるところを3~5営業日で行われるというインセンティブも設けている。

Economical(経済性):仕組みをデジタル化することで、業務に要する時間や人の増加を防ぎ、運用コストの節約を図る。e-Taxによる税金申告では電子化比率の増加に伴って、個人に関する会計士や税理士の仕事や関連業務は減り、税金に関する業務効率向上やコスト削減に大きく寄与している。

Everywhere(どこでも):「社会的権利」であるコネクティビティとサービスへのアクセスを国内全土だけでなく、海外からのアクセスにも広げている。

Engaging(協業):e-statesの構築に関して、国民や関係団体との合意に基づく協業によって実現を目指している。

Egalitarianism(公平性・透明性):データは厳重なセキュリティ保護のもとに管理し、NTK(Need-to-Know)に基づいた公平なアクセスを実現する。「i-Voting」と呼ぶオンライン選挙の仕組みは既に30%の投票に使われている。選挙期間中は何度でも投票(変更)でき、海外への留学中や旅行中でも投票できる。投票結果の集計もデジタルのため簡単である。i-VotingのシステムもOSS(Open Source Software)を利用し、ソースコードの公開によって透明性を確保している。

ブロックチェーンを社会インフラに導入

米国時間の13日、米証券取引所ナスダックが、エストニアにてブロックチェーン技術を社会インフラとして導入していくことが明らかとなりました。


同社幹部が明らかにしたのは、既にこれまで米国で進めていた未公開株式の流通プラットフォームにおけるブロックチェーンの活用に加え、様々な公的手続きにもブロックチェーンを活用することが可能であるかのテストを、エストニアで実施することです。
ナスダックは、かねてよりエストニア政府より、会社登記や公的年金の登録、議決権行使などに関する登録業務を受託しており、同国の社会インフラにブロックチェーンを導入することで、効率的な運用が可能であるかをテストしていくこととなります。Open Assetsというビットコイン型のブロックチェーンプロトコルを用いて、この開発は行われていく見込みとのこと。
小国で多数の島からなるエストニアは、行政を行うための労働力やコストを節減するため、結果として「税理士が消えた」という表現でも有名になるほど、大幅な政府機能の電子化を進めています。

「税理士が消えた」んだ…(´・ω・`)ショボーン←本業「税理士」の筆者

そして「税理士が消えた」

現在のエストニア政府の活動を支えているのはX-Roadというクラウドコンピューティングシステムです。このデータベースには国民のありとあらゆる公的情報が蓄積されていて、全国民の預金残高まで把握することができます。

この預金残高まで把握できるシステムが鍵です。

全国民の預金の残高を把握しているため、課税額の計算を全て自動で行うことができます。そのため、国民は様々な端末から自分の納税額を確認し、承認するだけで確定申告が完了します。これらの課税処理を自動で計算することができるため、税理士に依頼することがなくなってしまいその結果、エストニアから税理士や会計士が消えてしまいました。

預金残高まで把握できる社会インフラができると、国家の方で所得額や課税額まで計算できてしまいます。
国民はその内容を確認するだけ。

税理士や会計士が必要となるのは、税法による所得額計算や税額計算の仕方を知っているからです。またこれに付随する記帳代行業務も重要な収益源となります。

その手間がなくなり、国家と国民とが税金面で直接つながってしまえば、代理業は要らなくなるのです。

エストニアの電子化システムX-Roadとは

エストニアの電子化システムX-Roadとは

エストニアに税理士がいらなくなるほど課税額計算が自動化された背景には「X-Road」という電子化システムの導入があります。
X-Roadには、国民のありとあらゆる公的情報が蓄積されています。その公的情報のひとつは預貯金残高も含まれています。
クラウドコンピューティングで税金計算を含めた行政手続きが可能となるため、国民と国家の間に立つ代理業がいらなくなるのです。

外国人向けサービスも充実、外国資本の呼び込みにブロックチェーンを活用

ブロックチェーンを基に、人々がより主体的に組織と関わるためのプラットフォームを作る試みが始まっている。エストニア政府が、「イー・レジデント(e-resident)」(電子居住者カードのことで、エストニア滞在許可がない外国人向けIDカード)にブロックチェーンを導入するべくBitnation社と提携した。

エストニアは、スマートなIT国家となることを主眼として「イ―・エストニア(e-estonia)」というICチップ内蔵のIDカードを国民に発行している。このカードひとつで、納税、選挙、事業設立、銀行手続きなどが全て遂行できる。これと同様のカードを、エストニアに滞在許可を持たない外国人にも発行しているのが「イ―・レジデント」だ。エストニアへの滞在許可を持つ外国人は限られていたため、これは画期的なことだった。

今の日本で言うところの「マイナンバーカード外国人版」にブロックチェーンを掛け合わせるイメージですね。
エストニア国内に滞在許可がない外国人にも発行するというのはかなり大きいです。
なぜなら、リアルな拠点をもつかもたないかで、その国において課税がなされるかどうかが決まるからです。

このプログラムでは誰もがエストニア政府から発行されたデジタルIDが取得でき、エストニア政府の定めた規制の下で事業設立の手続きを行える。外国籍の人達の場合は事業設立などの権利は自動的には与えられないが、金融生活の拠点をオンライン上に置く事ができる。
起業家にとってのイー・レジデントの魅力はエストニア国内では会社の所得が課税されないという事だ。それゆえ、コンプライアンスはシンプルで全ての収入を再投資に使う事ができる。しかし、会社で稼いできたお金を家計の税金として納めなくてはいけない。

法人税的には非課税、でも個人の所得としては課税という具合ですかね。個人所得税の課税根拠をどこに求めるかが気になるところですが。

エストニアのブロックチェーンは医療サービスにも

ブロックチェーンを利用したサイバーセキュリティ・ソリューションを開発するGuardtimeが、エストニア政府と提携し、130万人のエストニア国民の生涯の健康・医療データの記録管理にブロックチェーンの利用試験を開始していることが明らかになった。
米国防安全保障協力局の元エキスパートであり、GuardtimeのCTOを務めるマット・ジョンソン氏によれば、センシティブな情報を扱う分野では、ビットコインやイーサリアムなどでは難しかったとのこと。とりわけ医療機関で扱うカルテは個人情報の塊であり、情報を厳重に扱う必要があった。こうした理由から、既存のブロックチェーンではデータを直接扱うことはできない。Guardtimeが持つKSIではこれを、従来のブロックチェーンと同様に第三者による改ざんや攻撃を防いだまま、政府や医療機関など限られた機関でのみ利用できるようにした。

「誰がそれを管理しているか、医師がそれをどのように利用するか。」ジョンソン氏は語る。「そして、病院や他の医療サービス、保険業者。誰もがそのデータに触れ、契約に基づいて扱っている。」

仮想通貨で有名なビットコインやイーサリアムと同じ技術では、個人情報保護が難しいため、より厳重に保護が可能なブロックチェーン技術を用いたのですね。

エストニアの個人情報保護のセキュリティのために用いられたブロックチェーンの「Guardtime」はコレ↓↓

なぜエストニアの行政システムにブロックチェーンが導入できたのか?

エストニアはブロックチェーンの先進国といっていいでしょう。
では、なぜ、エストニアはこれほどまでにスピーディにブロックチェーンを行政システムに導入できたのか?
次のような背景が考えられます。


1.もともとIT先進国だったこと

ヨーロッパ諸国にとってエストニアはITのオフショアであったこと、もともとIT産業が堅調であったこと、そしてIT教育が盛んであったことなどから、ブロックチェーンを行政機関に応用する土壌があったものと考えられます。



2.国の規模が小さい

人口や経済レベルなどからみて、明らかにエストニアは小国です。それはアメリカやEU、中国などと規模で比べたら確かに見劣りがしますが、一方、小さいことは強みともなります。同時に、小ささは決断のスピードをより後押しします。
その「小ささ」を「機動性」「瞬発性」「柔軟性」といった強みに変え、早々にブロックチェーンを実験的に導入したのがエストニアだと言っていいでしょう。



3.経済が市場放任主義であり、言論の自由度合いが高い


一見、ブロックチェーンとは何の関係もないように見えますが、実はこれは大きく関連しています。つまり、「新しい技術の導入についての抵抗が少ない」ということです。
小国であっても、中央集権力が強く、政府からの抑圧が強ければ、行政機関にブロックチェーンを導入することは困難です。ブロックチェーンの導入は、同時に、既存の職業構成を壊し、国民から仕事を奪うことにもつながるからです。

エストニアのブロックチェーン導入から、人々が抱く期待とは

ビットコインがブロックチェーンによって世界中の国境を取り払ったように、行政からも国境を取り払ってしまうのでしょうか。
さらにはあまり広く認められていない同性愛の結婚などもこのサービスによって認められるようになる可能性もあり、人々により自由をもたらすことができるのではないかと考えられています。
タコウスキー・テンペロフ氏はBitcoin Magazineの取材の中で、「エストニア共和国のように国家政府が自由な世界市場でガバナンスサービスを提供し始めている事を積極的に促進しているのを見ると正しい方向に進み始めたと感じる。今、我々はより多くの国家政府とオープンソースプロトコルが世界市場に参入する必要がある。」と語っている。
現実的には、小規模の国の方が短い期間でテクノロジーに順応するだろうとタコウスキー・テンペロフ氏は加えた。「シンガポールやリヒテンシュタイン、アンドラなどが今、考えられる国や都市国家だ。」と同氏は伝える。「そして我々はガバナンステクノロジーにおいて発展途上国の急激な成長を目撃する事になるかもしれない。」

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。