海外に拠点を移す富裕層が急増中

年々の増税で富裕層は海外逃亡している現実

年々の増税で富裕層は海外逃亡している現実

平成25年度税制改正により所得税の最高税率は40%から45%にアップ、
相続税も基礎控除額の引き下げや最高税率が50%から55%に引き上げられました。
個人の税負担が年々高まり、かつ日本の財政の先行き不安が払しょくできない中、香港やシンガポールといった低税率国への移住を図る富裕層は増加傾向にあります。

富裕層ってどういう人のこと?

日本における富裕層、超富裕層はどんな人たち? その定義と金融資産額とは

日本における富裕層、超富裕層はどんな人たち? その定義と金融資産額とは

「富裕層」といっても、そのイメージは人によってまちまちです。
人によっては年収の額で富裕層かどうかを判断する人もいます。

一般的には、どういう人が「富裕層」として定義づけられているのでしょうか。

貯金や株式といった資産の額から借金を差し引いたものを純金融資産と呼びますが、この金額が1億円以上あると富裕層と呼ばれることが多いようです。
野村総合研究所の調査では、純金融資産が1億円以上の富裕層は、日本では約100万世帯あるそうです。日本の世帯数は6000万弱ですから、約1.6%が富裕層に属することになります。
同社では5億円以上の資産を持っている人を超富裕層と定義していますが、超富裕層の数はぐっと減って5.4万世帯となっています。

日本の増税の状況…財政難のシワ寄せは個人にのしかかる

相続税改正前と改正後の税率変更

相続税改正前と改正後の税率変更

平成27年1月1日より、最高税率は50%から55%に引き上げられました。
その他、基礎控除額が

「5000万円+1000万円×法定相続人の数」
    ↓
「3000万円+600万円×法定相続人の数」

に変更されました。

所得税改正前(平成26年分まで)の税率

所得税改正前(平成26年分まで)の税率

所得税改正後(平成27年分から)の税率

所得税改正後(平成27年分から)の税率

たとえば2億円課税所得がある人の場合、次の計算のとおり、およそ80万円も増税されることになります。

従 来 2億円 × 40% − 279万6,000円 = 772万4,000円
改定後 2億円 × 45% − 479万6,000円 = 852万4,000円

120万円の増税はおカネにシビアな富裕層は「多い」と感じています。

香港やシンガポールは日本に比べると圧倒的に低税率

なにしろ香港の最高税率は17%ととても安い。
しかも日本のようにその他の税金が山盛りということもなく、外国人が負担するのは固定資産税と一部の酒税(アルコール度数が高いモノだけ。ビールは無税だから超安い)、それからスーパーのビニール袋税くらいでしょうか。

収入額が同じ場合、40%の税金と17%の税金を比較したら手元に残るお金が全然違うため、そりゃ香港に移住したいと考える人が多いのもうなずけます。

言葉とビザの問題さえクリアできれば移住は選択肢のひとつになります。

シンガポールの個人所得税は、累進課税である点は日本と同じですが、
最高税率においては、日本と格段の差があります。

日本の個人所得税率は最高50%ですが、
シンガポールの個人所得税率は同時期の基準で最高20%です。

こういった背景から2000年を目途に、
低税率国への移住を選択する富裕層が増加しています。
富裕層が移住するということはその分税収が減っていくということ。
この状況を日本の国税当局が見過ごすわけがありません。

2015年7月、日本の国税当局は他の先進諸国を見習い、ある「税金逃れ防止の包囲網」を設けました。

2015年7月より国外転出時課税制度(出国税)がスタートした

2015年7月より国外転出時課税制度を導入

2015年7月より国外転出時課税制度を導入

富裕層の海外移住による税源侵食の増加を怖れた日本の国税庁は、2015年7月より国外転出時課税制度(出国税)を導入し、個人の租税回避の防止に乗り出しました。

国外転出時課税制度(出国税)とは?

国外転出時課税制度は、平成27年7月1日以後に日本から外国に移住する一定の居住者が、1億円以上の対象資産を所有する場合に、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課される制度です。
また、1億円以上の対象資産を所有している日本の居住者から、外国に居住している子供や孫などへの贈与や相続によって対象資産の移転があった場合にも、含み益に対して所得税及び復興特別所得税が課されます。

出国税の対象となる人は?

国外転出時課税制度では以下の2ついずれにも該当する人が対象です。

1.平成27年7月1日以降に、国外転出する時に1億円以上の有価証券等を所有している人
有価証券等とは株式や投資信託に限らず未決済デリバティブ取引に係る契約を締結している場合などを指します。

2.原則として国外転出の日前10年以内に、日本国内に住所・居所を有していた期間が5年を超える人

つまりは、日本にずっと住んでいる日本人が1億円以上の有価証券を持っていたらこの制度が適用されます。

本来、所得税では、売却などをした確定した利益(譲渡益)に対してのみ課税するもの。法人課税の際に適用される時価評価制度は採用していません。

しかし、この制度を逆手にとって手持ちの資産を有価証券等に変えて出国する人があとを絶たないことから、所得税の原理原則にさからって、あえて個人の持つ有価証券等に時価評価を適用し、みなし課税をする制度を導入したのでした。

出国税の課税対象は?

国外転出時課税制度の対象となる資産は、次のとおりです。

・有価証券(株式、投資信託等)
・匿名組合契約の出資持分
・未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引
出国の時点で1億円以上の対象資産を保有していれば、所定の時点で資産を売却したとみなして、含み益に所得税が課税されます。施行日は2015年7月1日で、同日以降に出国する人が対象になります。
(有価証券等の範囲)

60の2-3 法第60条の2の規定の適用がある有価証券等とは、国外転出の時において、当該国外転出をする居住者が有している有価証券等をいうのであるが、例えば、次に掲げる有価証券など、その譲渡による所得が当該居住者の譲渡所得等として課税されるものについては、当該有価証券等に含まれることに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加)

(1) 受益者等課税信託(法第13条第1項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。60の2-4において同じ。)の信託財産に属する有価証券
(2) 36・37共-19に定める任意組合等の組合財産である有価証券
(3) 質権や譲渡担保の対象となっている有価証券


(デリバティブ取引等の範囲)

60の2-4 法第60条の2の規定の適用がある未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引(以下この項において「未決済デリバティブ取引等」という。)とは、国外転出の時において、当該国外転出をする居住者が契約を締結している未決済デリバティブ取引等をいうのであるが、例えば、次に掲げる未決済デリバティブ取引等など、その取引に係る決済による所得が当該居住者の事業所得又は雑所得として課税されるものについては、当該未決済デリバティブ取引等に含まれることに留意する。(平27課資3-2、課個2-7、課審7-6、徴管6-12追加)

(1) 受益者等課税信託に係る信託契約に基づき受託者が行う未決済デリバティブ取引等
(2) 36・37共-19に定める任意組合等の組合事業として行われる未決済デリバティブ取引等

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。